インフラ刑事:第1話「街を泣かせるもの」
AI、IoT、タレントマネジメント、、、新しい言葉が生まれ、また人知れず消え去っていく。
今日もこの街のネオンを眺めながら、俺は●onsterキ●ーバリ●レを傾ける。
業務効率化、生産性向上、売り上げアップ。そんなネオン輝くこの街さえ、どこかで涙が流れてる。
この世界は綺麗事だけじゃない。表があれば裏もある、それが現実ってものだ。
そして事件はいつだって唐突にやってくる。
「インフラ刑事!!大変です!!!」
こいつは新米。収穫したてのコシヒカリで炊いたライスみたいにツヤツヤな新人だ。
あと、そのドアはバスドラムじゃないと言っているだろう。
「トニーのところのサーバーがログイン出来なくなったって通報があったんです」
そいつはご機嫌な通報だな。
トニーと言えば口を開けば可視化だワークフローだとシリアルにかけるミルクの量まで文書化してた男だったはずだ。
「手順書はあったらしいんですが、先週入ったばかりの者がそれを見ながら作業して、sudo設定をミスったみたいです、、」
「あとは一部ちょっと古い情報だったらしくて、そこを調べながらの作業だったみたいですね。」
なるほど、原因は
- 練度の低い人間が作業していた
- 危険な作業を手でやっていた
- 手順書が最新ではなかった
という所だろう。
それでインフラの神様を怒らせちまったって事か、不幸な事故だな。
「手順書が無くて、、というのはよく聞きますけど、今回は手順書がちゃんとあったんですよ、、、」
それだけで上手くいくなら俺は今頃、竹芝桟橋で●onsterアブソ●ュート●ロを飲みながら夜空のトランペットを聴いてるさ。
手順書が悪い訳じゃない。手順書は大切だ。
「あ、そうか手順書がいくら正しくても操作してるのは人だからミスも起こりますよね」
そういう事だ。ミスをする。それが人間だからな。
「そうですよね、人のミスは防ぎようがないですよね」
お前は工夫するという人類の宝を夢の国にでも置いてきてしまったのか?
「・・・設定ファイルは事前に用意しておいてコピーするだけにするとか?」
そうだな。ミスが起きそうな箇所は事前に用意しておくのは良い事だ。検証も出来る。
あとは手順や設定ファイル、構成情報なんかはしっかり管理しておきたい。
そして実際の作業は簡単な手順で実行されて、結果確認まで出来たらどうだ。
「それなら今回のような事件はおきませんね!!でも可能なんですか?」
あぁ、構成管理をしっかりすればこういった不幸な事故は起きない。
サーバーの構築はAnsibleやChefでソースコード化して、誰が何回やっても同じ状態(冪等性)にする事ができる。
AWSならOpsWorksというのがあるし、CloudFormationを使えばネットワーク周りもテンプレート化できる。
他にもServerSpecを使えばサーバーの動作をアプリケーションのようにテストすることもできるな。
サーバーで動くアプリケーションのリリースはAWSのCodeDeployやCapistranoあたりを使って自動化。
こういった便利なものを使って、サービスの構成を管理する。
そうする事で大きなミスを防ぎ、属人化を防ぎ、作業も安定、非常時の対応もやりやすくなる。
構成管理をしっかりする事でインフラが可視化されて安心感・品質が向上するという事だ。
「なるほど!!!早速トニーに伝えてきます!!!」
ドアの閉め方は伝わらなかったが、構成管理の大切さが伝わったならもう大丈夫だろう。
サーバーの事は残念だったが、もしかしたらレスキューモードで助かるかもしれない。
これでまた1つ、この街の涙を止められただろうか。
この街のネオンを眺めながらそんな事を考え、俺は●onsterキ●ーバリ●レを傾ける。